「指」・「拍子」・「鍵盤感覚」・「練習メニュー」など、日々のピアノ練習も踏まえて、実際に有名なピアノ曲を使って、重要ポイントをチェックしてみましょう。
あの有名な曲や、簡単なので何気なく弾いていた曲でも、意外なところに重要な点があるものです。
初中級程度〜中上級くらいの人から弾けるような、身近で発表会でもよく聴くような有名な曲から取り上げていきたいと思います。
随時追加して増やしていく予定です。
- シューマン 「幻想小曲集」より「飛翔」
- ベートーベン 「ピアノソナタ第8番『悲愴』 第2楽章」
- ショパン 「ワルツ14番(遺作)」
- ランゲ 「花の歌」
- リスト 「愛の夢 第3番」
- ドビュッシー 「ベルガマスク組曲」より「月の光」
- ベートーベン 「ピアノソナタ第5番 第1楽章」
- クーラウ 「ソナチネ第1番 第1楽章」
- チャイコフスキー 「四季」より「6月 舟歌」
- ショパン 「ワルツ(19番遺作)」
- ブルクミュラー25練習曲より 「アラベスク」
- メンデルスゾーン無言歌集より 「ベニスの舟歌」
エリーゼのために Fur Elise ベートーベン Beethoven
初級者のピアノレパートリーの超定番であるエリーザのためにですが、注目のポイントがいくつかあります。そこをきちんと弾かないと、演奏が決まりませんよ。
聴いていると何回かわからなくなりような「ミレミレ〜」ですが、楽譜から覚えれば、そんな心配はなさそうです。弾いている本人は、ミレを多く弾きすぎることはないでしょう。抑揚も、感じたとおりに少々つければ大丈夫。
問題は主題ではなく、中間部分です。
この曲は簡単だと思って挑戦する人にとって、上の「譜例1」の部分でつまづいてしまうケースが多いもの。
よくあるパターンの音型なので、初中級くらいの人にとっては何でもないようなものですが、音階系の練習をあまりしたことのない人にとっては、難関です。
こういった箇所は、何度も早いテンポで何度も繰り返し練習するよりも、むしろ、ゆっくりと自分の手の動きを確認しながら、指の動きのスムーズさを意識して練習しましょう。手首の力を抜いて、指の動きに自然と連動するようなわずかな動きが理想ですよ。
そして、クライマックスに向かう「譜例2」の部分の弾きかたで、しっかりとした演奏に仕上がるかが決まります。ここでは、左手の8分音符に注目。小節の1拍目を少し強調するような感じで弾きます。
指使いですが、楽譜には同じ音を連打するときに、よく指を変えて弾くような指定があると思います。それでももちろんいいのですが、無理をして変える必要もありません。同じ指で連打してもかまわないのです。要は、音が自分の思ったように鳴っているかを、耳で確認しながら弾くことが重要です。
また、左手がラが続いて♭シに変わるところでは、♭シを少し強調するように、1拍目に少しタメを入れましょう。これで、同じような音型の連続の中でも、盛り上がりをつけることができます。
最後の難関は「ラドミ」の連続上昇です。これをミスするとかっこ悪いのですが、慎重になりすぎてもいけません。
コツとしては、1の指を無理にくぐらせないこと。ペダルを踏んで弾くのですから、ミを弾いたあとに、手を横にスライドさせるように移動して、次のラドミの位置にもって行きましょう。そうすると、肘などに余計な動きがないので、ミスも減りますよ。うまく弾けたからといって、下りの半音階で気を抜いてミスしないように。
あとは、最後で終了。ん?よく見ると、最後の終わり方に数種類の楽譜があるようです。でも、気にしない。
どちらかだったなんて、当時は殴り書きのような楽譜だったのですから、そんなことは今わかるはずありません。緑色の○印で囲った音が、「レ」と「ミ」のものがありますが、、弾いてみて気に入った方を選んでください。
いかがでしょうか。サラッと見てみただけでも、いくつか注目して気をつけるポイントがあるものですよね。ホントは題名がエリーゼではなくてテレーゼだとか言われていますが、まあどっちでもそれほど影響はないでしょう。
もちろん、これ以外にもチェックポイントはありますし、ここにあげたことが正しいわけではありません。あくまでひとつの例だと思って、活用してください。